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【業種別AI活用 第8回】クリニックがAIでできること ― 予約・問い合わせ・案内文を「事務とコミュニケーション」から軽くする使い方

クリニックがAIでできること|業種別AI活用シリーズ第8回

電話予約の対応で診療の手が止まる、院内の掲示やお知らせ文を書くたびに時間が溶ける、口コミへの返信もスタッフ募集の原稿も後回しになる ― 開業医や小規模な医院を切り盛りされている院長先生なら、思い当たる場面が多いのではないでしょうか。業種ごとに「AIで具体的に何ができて、時間とコストがどれだけ変わるのか」をお伝えするこのシリーズ、第8回のテーマは「クリニック」です。

前回の製造・町工場編では現場の段取りや文書づくりをAIで軽くする使い方をご紹介しましたが、クリニックでもAIが力を発揮するのは「事務とコミュニケーション」の領域です。はじめにいちばん大事なことをお伝えします。AIは、あくまで予約・案内・文章づくりといった事務とコミュニケーションを助ける道具であり、診断・治療・お薬の判断といった医療行為そのものは、これまで通り必ず医師が行うものです。この線引きさえ守れば、AIは院長先生の時間を取り戻す心強い味方になります。肩の力を抜いて読んでみてください。

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クリニックが抱える「あるある課題」とは?

まずは、多くのクリニックに共通する悩みを整理してみましょう。おそらく、いくつも心当たりがあるはずです。

ひとつは電話予約・問い合わせ対応に手を取られることです。「次の予約はいつ取れる?」「今日は混んでいる?」「持ち物は?」といった似た質問が一日に何度もかかってきて、そのたびに受付スタッフや先生自身の手が止まります。次に案内文・院内掲示づくりの手間。休診のお知らせ、予防接種や健診の案内、窓口での注意書き ― こうした掲示物や文章を、その都度ゼロから書き起こすのは地味に時間を食う作業です。

さらに口コミへの返信。GoogleマップやポータルサイトのレビューにはAEO・SEOの観点でも丁寧に返したいけれど、表現に気を使う分だけ後回しになりがちです。そしてスタッフの採用。看護師や医療事務の求人原稿を魅力的に書くのは難しく、募集をかけても応募が来ない。最後に患者さんへの説明文。検査の流れや受診前の準備、よくある質問への案内など、「わかりやすく書く」ことに毎回頭を悩ませていないでしょうか。

これらの課題に共通するのは、「人を増やすか、先生が自分の時間を削るしかない」と思い込まれている点です。実は、その多くがAIで大きく軽くできます。いずれも診療判断そのものではなく、事務とコミュニケーションの部分だからです。

クリニックがAIでできることは? ― こう解決できる

ここからは具体的に、クリニックですぐ試せるAIの使い方を6つ紹介します。いずれも、無料〜月数千円のツール(ChatGPTなど)で始められるものばかりで、診療判断ではなく「文章づくり・案内づくり」を肩代わりさせる使い方です。

① 予約・問い合わせの一次対応に使う案内文づくり

「予約方法」「診療時間」「持ち物」「初診の流れ」といったよくある問い合わせへの案内文を、状況を伝えればすぐ作成できます。電話口で毎回口頭で説明していた内容を、ホームページやLINE・予約システムの自動応答に載せる文章としてAIに整えてもらえば、電話そのものを減らせます。あくまで案内文の作成までで、症状に応じた受診の要否などはスタッフ・医師が判断する、という線引きで使うのが安全です。

② 院内掲示・お知らせ文の下書き

休診・代診のお知らせ、予防接種や健診の案内、窓口の注意書きといった掲示物の文案は、AIの得意分野です。「やわらかい口調で」「高齢の患者さんにも読みやすく」などトーンを指定すれば、何パターンも作れます。ゼロから書くのと、8割できた文章を手直しするのとでは、かかる時間がまるで違います。

③ よくある質問(FAQ)の整理と文章化

受付でよく聞かれる質問を箇条書きで渡せば、ホームページに載せるFAQ形式の質問と回答を、AIが読みやすく整えてくれます。質問形で見出しを立てておくと、検索エンジンやAIの回答にも拾われやすくなります。ただし回答の中身、とくに医療に関わる記載は、必ず医師が確認してから公開してください。

④ 口コミへの返信文づくり

Googleマップやポータルサイトのレビューに対して、状況を伝えれば角の立たない返信文の案をすぐ作成できます。「来院のお礼」「ご指摘への丁寧なお返事」など、トーンを指定すれば感情的にならずに済みます。なお、返信の際に患者さんの来院事実や病状に触れるのは守秘義務の観点で問題になり得ますので、個別の診療内容には踏み込まず、一般的なお礼・お詫びにとどめるのが鉄則です。

⑤ 求人原稿(看護師・医療事務)の作成

「どんな人に来てほしいか」「働く環境の魅力」を伝えれば、看護師・医療事務の求人原稿をAIが何パターンも作成してくれます。同じ募集内容でも、求人媒体用・自院サイト用・SNS用と表現を変えて作れるため、「募集文を書く時間がない」という悩みが軽くなります。

⑥ 患者さん向け説明文の「下書き」づくり

検査の流れ、受診前の準備、来院後の一般的な過ごし方など、患者さんに渡す説明文の「下書き」をAIに作らせる使い方です。ここはとくに注意が必要で、診断・治療方針・お薬・個別の症状判断に関わる内容は、必ず医師が書き直し・確認をしたうえで使ってください。AIはあくまで「読みやすい日本語の叩き台づくり」に限定し、医療的な中身の責任は医師が持つ、という前提を崩さないことが大切です。

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クリニックでAIを使うと、時間とコストはどれだけ減るのか?

ここがいちばん気になるところでしょう。あくまで一例で、医院の規模や患者数によって変わりますが、イメージをつかむための目安を挙げてみます。

たとえば案内文・掲示物づくり。1本あたり20〜30分かけていた文章作成が、AIにたたき台を作らせれば5分前後に短縮できます。月に何本も作るなら、ざっと月数時間の削減イメージです。口コミ返信も、1件10分かけていたものが2〜3分に。求人原稿づくりやFAQの整理も、毎回数時間かけていたものが大きく圧縮されます。電話の一次対応をホームページやLINEの案内文に逃がせれば、受付の中断回数そのものが減り、その効果は時間に換算しにくいほど大きく効いてきます。

数字そのものより大切なのは、こうして浮いた時間を、診察や患者さんとの対話といった「医師にしかできない仕事」に振り向けられるという点です。AIはコスト削減の道具であると同時に、「院長先生の時間を取り戻す道具」でもあるのです。

※ここで挙げた数字はあくまで一般的な目安であり、効果を保証するものではありません。誇大に受け取らず、まずは1つの業務で試し、自院での削減幅をご自身で測ってみることをおすすめします。

クリニックがAIを使うときの注意点は? ― 正しく使うコツ

便利な一方で、クリニックだからこそ、ほかの業種以上に強く気をつけたい点があります。ここは必ず押さえてください。

第一に、最重要の大原則です。診断・治療・お薬・医療上の判断は、必ず医師が行ってください。AIに症状を入力して「これは何の病気か」「どう治療すべきか」を尋ね、その答えをそのまま患者さんに伝えるような使い方は絶対にしてはいけません。AIの役割は、あくまで事務作業とコミュニケーション(文章づくり)の補助に限定し、医療の中身の判断と責任は医師が持つ ― この一線を崩さないことが、クリニックでAIを使う際の絶対条件です。

第二に、医療広告ガイドラインと医療法に注意してください。クリニックのホームページや広告には、医療法・医療広告ガイドラインによる規制があります。AIに集患用の文章を作らせると、「絶対治る」「必ず効果がある」といった効果を保証する表現や、誇大な表現、不適切なビフォーアフター・体験談などが混じることがあります。効果の保証や誇大表現は厳禁です。AIが作った文章は、必ず医療広告ガイドラインに照らして医師が点検し、問題のある表現を取り除いてから使ってください。

第三に、要配慮個人情報(病歴・症状などの患者情報)の取扱いに細心の注意を払ってください。患者さんの氏名・連絡先はもちろん、病名・症状・検査結果といった情報は、個人情報保護法上の「要配慮個人情報」にあたり、とくに慎重な扱いが求められます。これらを安易にAIサービスへ入力するのは避けてください。文章を作らせるときは、固有名詞や具体的な病状を伏せ、「一般的なケースとして」「ある患者さんから〜という一般的な問い合わせ」といった形に置き換えるのが安全です。

第四に、AIが事実と違う情報を「もっともらしく」作ってしまうことにも注意が必要です。これは「ハルシネーション」と呼ばれる現象で、医療や健康に関する情報をAIに書かせた場合、誤った内容が自信ありげに混じる恐れがあります。患者さんの健康に関わる情報ほど、必ず医師が裏取り・事実確認をしてから使ってください。

このあたりの「AIの落とし穴」と上手な付き合い方は、別途お届けしているAI用語深堀シリーズ(ハルシネーションや権限管理など)でも詳しく扱っています。あわせて押さえておくと、より安心してAIを使えるはずです。

次回予告

次回は、「学習塾」でのAI活用を取り上げます。保護者へのお知らせ・面談案内の作成、問い合わせ対応、教材や告知文づくり、SNS発信など、限られた人数で生徒と保護者に向き合うための使い方を、同じくROI(時間・コスト)の視点でお届けする予定です。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

まとめ

クリニックは、予約・問い合わせの案内、院内掲示、FAQ、口コミ返信、求人原稿、患者さん向け説明文の下書きといった「事務とコミュニケーションで時間を食う業務」をAIに任せやすい業種です。①〜⑤の身近なところから始め、慣れたら患者さん向け説明文の下書きへ広げていく ― この順番なら、無理なく「今いる人数のまま」医院を回せるようになります。

ただし、ほかの業種と決定的に違うのは規制と責任の重さです。診断・治療・医療判断は必ず医師が行う/医療広告ガイドライン・医療法に反する誇大・効果保証は厳禁/病歴など要配慮個人情報は安易に入力しない ― この三つの一線さえ守れば、AIはクリニック経営の心強い味方になります。関西ぱどでは、こうしたAI活用を実際に手を動かしながら学べる「AI Bootcamp」を開講予定です。「自院で何から始めればいいか相談したい」という院長先生は、ぜひお気軽にご検討ください。

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執行役員 / WEBマーケティング営業部 部長
監修 : 田中 勉
30年間、エリアマーケティングの最前線で培った知見を活かし、オフラインとオンラインを融合したクロスマーケティングを支援してまいりました。1000社を超えるサイト診断・コンサルティング実績に基づき、常に最新トレンドを捉えた戦略的なアプローチで企業の成長を後押しいたします。

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❒IMA検定(スタンダード)認定者
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